ライフハックの対極にあるマルチ。
東京はマルチの総本山です。
街中には目には見えない「マルチの網」が張り巡らされていて、スキあらばぼくたちの財布を狙っています。
この記事は5年ほど前に、約3か月ほどマルチの内部に潜入して学んだことを記載しています。
これを読んで少しでも被害が減ればと思います。
【結論】マルチは東京の登竜門
まず最初に、この記事のまとめです。
・2018年ごろにニューウェイズ(現:モデーア)の勧誘を受ける
・ヒマつぶしに3か月潜入してみたところ、ボス(師匠)の自宅にお呼ばれされる
・その後、核心に迫られ白黒ハッキリつける
というあらすじです。
マルチは東京の登竜門。
東京の登竜門といえばマルチ。
それくらい、東京では必ず彼らに出逢います。
むしろ、彼らの網をかいくぐって初めて一人前といえます。
詳しく記載していきます。
「何か始めたい」と思ったときに出てくるのがマルチ集団
・何かを始めたい!
・変わるきっかけがほしい!
・人脈を広げたい!
そういった人生の転機・変革を求める時期が誰にでもあるはず。
そして、この時期に必ず目の前に現れるのがマルチです。
彼らはこのような向上心に必ずつけこんできます。
5年前、ぼくもまさに
「このままではダメだから変わりたい!でも何をしていいかわからない!」
といった感じで日々を悶々と過ごしていました。
そして、ついに噂のマルチと関わりを持つときが来たのです。
合コンが出逢いのきっかけ
何かを変えるためには、とりあえず人との接触回数を増やそうと思っていました。
そんなある日、大学時代の友人から誘われた合コンに参加。そのとき、男性側の幹事をしていたのがマルチの下っ端Tくんでした。
そこでのTくんは皆に愛想がよく、人当たりも非常に良くてマルチ感は一切感じず。
途中、Tくんとサシで話す機会があり、価値観や生き方などで気が合い話がはずみました。
そして、その日は1次会で解散。
その後のLINEでTくんに誘われ、後日サシでカフェにいくことに。
不労所得と金持ち父さん
カフェに入ると、さっそく先日の価値観の話の流れから働き方の話へ。
そのとき、Tくんから
「自分がやりたいことがやれる人生、不労所得で生きていける人生って良いと思わない?いつまでも会社員っていう働き方はキツくない?」
と聞かれました。
たしかに、そう聞かれるとそのような生き方を羨ましいと思わない人はいないですよね。
この段階では、特にあやしげな動きは見られず、概ねTくんが言う意見には賛同できたので話は弾みました。
伝家の宝刀『金持ち父さん 貧乏父さん』
そして、1時間ほど会話したあと、ロバートキヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』を差し出され、
「これを特別に貸すから、2週間後また返してもらうときに感想聞かせてよ!」
と言われ解散しました。
『金持ち父さん 貧乏父さん』といえば、ザ・マルチのバイブルとして有名な本。
この瞬間に、ほぼマルチだと確信しました。
意外にも内容はめちゃめちゃ勉強になった
「マルチの本」ということで、いままで避けていましたが、せっかくの機会なので読んでみることに。
すると、これまでのお金の価値観がひっくり返るくらい学びにあふれる本でした。
マルチへの導入本として扱われているのが惜しいほど。
余談ですが、ぼくはこの本をきっかけにつみたてNISAを始めました。そのため彼らには感謝しています。
内容としては、いま読むと若干古いですが、本質的なお金の考え方の部分は不変です。
ただし、彼らの目的は、
不労所得=イヤな思いをせずに自由な人生を送れるというシナリオを描かせて、そこから不労所得⇨マルチ商法に引きずり込むというものです。
異常なまでの仲良し集団
2週間後、本を返すという名目で招待されたのがパーティ。
休日の昼間にお店を貸し切って30名ほどで交流会をする、というものでした。
そして、これに参加したときに最初に感じたのが、全員が異常なまでにポジティブということ。
みんなニコニコして異様にテンションが高い。
でも、かといってツッコんだ話はせずに、どこも表面だけの会話という不思議。
終わってから気づきましたが、あの場にいた約30名はほぼマルチの下っ端で、そこにカモを招待し、人数で囲い込んで仲間に引き込む作戦だったみたいです。
なんか全員眼の奥が死んでた
ほぼ全員がマルチの下っ端だったためか、みんな仲が良さそうにしているんだけど、どこかビジネス的な関係性を感じました。
なぜなら、みんな揃いも揃って心の底から楽しんでいる感がないというか、義務的というか眼の奥が死んでいる感じがしたから。
恐らく、みんなノルマに追われて大変だったのでしょう。
そんな心の奥底に垣間見えるノルマからの焦りと、あやしまれないようにポジティブに振る舞う姿が狂気じみていました。
ここまで直接的な誘いなし
そこはかとなく漂う「うさん臭さ」を感じつつも、ここまで3回ほどTくんの誘いに乗りました。
しかし、いずれも直接的な勧誘や購入の誘いはなし。
慎重派だったのか警戒されていたのかは謎ですが、結構意外でした。
その後、いろいろと調べてみると、完全に洗脳してから入会させて金をむしり取る作戦のようで、
やはりマルチはタチが悪いなと感じました。
カルデラソニックでついにボス(師匠)に接触
次に誘われたのはカルデラソニックという謎イベント。
どうやら、Tくんの師匠という人が主催するコンサートとのこと。
チケットも3000円ほどだったのと、マルチのボスはどんな人か興味があったので行ってみることに。
そこには、先日のパーティにいた下っ端も多数いて、10分も経たないうちに数と権威性で圧倒させて洗脳するという目的でやってるんだなと確信しました。
ついに姿を見せたボス
コンサート開始から30分。
後ろの方のVIP席がザワつき出し、目を凝らすと人の群れができていました。
すると、Tくんから
「師匠が来たらあいさつにいこう!」
と言われ師匠と接触することに。
待つこと10分。
はじめてみた師匠は、マルチのボスというよりIT会社の社長のような風貌でした。
黒い肌・短パン・アロハシャツ姿。
そして、自己紹介を行い話すこと約5分
「オレは筋のある子としか話さないから。また機会があったらよろしく」
と残し会話は終了。
コンサート後は特に何もなく解散。
ボスの家に呼ばれる
コンサートから一週間後、TくんからLINEで
「こないだ会った師匠の○○さんに会う時間をもらえたんだけど来ない?忙しくて滅多にこんなチャンスないから行こう!」
と誘われ行くことに。
そんな貴重な時間に部外者が立ち入っていいの?と事前に一応聞きましたが、
「むしろ会いたがってるよ!」
という謎展開。
市ヶ谷の高級タワマンに住んでいた
市ヶ谷駅に集合し、Tくんと二人でタワマンへ。
Tくんは手慣れた手つきで3個ものロックを解除し、2個のエレベーターを乗り継ぎ部屋の前へ。
そして、ボスの部屋へ潜入しました。
中に入ると、いままで経験したこともないほどの間取り。これがタワマンか!と驚愕しました。
家賃は想像もつかないレベル。
どうやら宇多田ヒカルも同じマンションに住んでいるとのことでした。
にじみ出るうさん臭さ
ところが、部屋に入ってから間もなく、不自然な点に気づきました。
それは、一人で住むにはデカすぎるし、生活感があまりなかったという点。
恐らく「事務所」として使っていて、ぼくのようなカモを連れてきて、きらびやかな生活を見せることで、完全に信じさせる用の部屋として使っているのではないかと感じました。
それくらいうさん臭さが漂っていました。
ボスからの許諾
高級ソファに着席してまもなく、ボスからいきなり本題が切り出されました。
「自由な人生を手に入れたいかい?」
「オレは苦労をしたけど、35歳までに人生の課題をすべて解決させた。その結果いまがある」
「ただし、自由を手に入れるためには多少の苦労が必要。大変だと思うけど、その先にある未来を考えたら、やるだけの価値はあると思うし君ならできると思う。」
「挑戦してみたいかい?」
というような流れで会話で進み、何のことかさっぱりでしたが、
「はい、やってみたいです!」
と言うと、しばしの沈黙のあと、
「・・・わかりました。それでは許可します」
といって会話が終了し退室。
入室から退室まで20分足らずでした。
正直、テンポ感が謎すぎて終始よくわからなかったというのが率直な感想だったし、最後の「許可します」というのは、何を許可されたのか不明でした。
ついに本題へ
ボスの家を後にして近くのカフェへ。
そして、
「師匠に認められた件だけど、一緒に自由を目指してみない?」
と核心に迫られました。
内容は、
・週に何回か仲間で集まって勉強会を行う
・月に1度は遠征を行う(遠征費は自費)
・良い商品を買える(強制的に買うって意味)
・他人に紹介していくことで不労所得が増える
というもの。
さすがに、ここまで迫られると断るしか選択肢がないので、最後に組織名を聞いてみることに。
ところが、ぼくが、
「その前に、Tくんが入ってる組織は何ていうところなんですか?」
と聞くと、露骨にイヤな顔をされました。
恐らく、組織名は入る前には口外しないようなマニュアルがあったのかもしれません。
ここで極端にTくんの口数が減ったので、
「それって要するにマルチってことですよね?」
とたたみかけると、苦虫を嚙み潰したような顔になり終了。用事があるからという理由で、Tくんは足早に去っていきました。
それ以降、一切連絡が来なくなった
その一件以降、Tくんからの連絡は一切来なくなりました。
肝心の組織名はというと、コンサートの名前やボスの名前で検索すると
ニューウェイズ(現:モデーア)
という名前がヒットしたので、これで間違いないはず。
こうして、人生初のマルチの勧誘は終わりを迎えました。
下っ端の収入源は「多めに集める会費」
マルチの下っ端集団を見ていて感じたことは、彼らは四六時中ノルマに追われているということ。
そして、ノルマ=お金であるということ。
彼らは、街中の若い人をカモにするとともに、
すでにマルチの上層部にカモにされていて常に金欠という板挟み状態にあります。
それゆえ、彼らに求められるものは出会いの多さ。そのため、片っ端から声をかけ、合コンを主催します。
そこでの目的は2つ。
①次なるカモを見つけるため
彼らがノルマから抜け出すためには、「自分の下っ端」を作ることしか道がありません。
そのため、イケそうな人を見つけたらサシでのやり取りに持って行き、信者化させるために洗脳するのです。
②会費を多めに集めて、差分を収入源にするため
上述したように、彼らもまた養分です。
そのため常に金欠状態。
そこで手っ取り早く資金を集めるには、会費と飲み代の差額を懐にいれるというようなセコいことでも平気でやらなければいけません。
思い返せば、初回の合コンの会費も
男:5000円
女:3000円
と高かった記憶があり、お店の料金表をネットで調べると3000円になっていました。
また、カフェに誘われた際も、不労所得で生きていける人生を熱心に進めてきた割には、コーヒー1杯ですら奢ってもらえなかったので、よっぽど資金難だったんだろうなと思いました。
【まとめ】防御力は上げておいて損はない
これらの一連の経験を通して、人を見る目を養えたり、普段では絶対接しない人たちと関われたので良い経験になりました。
しかし、そのときの精神状態によっては、一歩間違えれば洗脳されていたかもと考えると恐怖を覚えます。
東京の人口は1400万人です。
仕事やプライベートで会う人も必然的に多くなります。その中で、彼らは息を潜めて虎視眈々とぼくらを狙っています。
ここで必要なのは、良い意味で疑心暗鬼になること。
「信じる力」と「疑う力」の両輪をバランスよく持っておくこと。
それは誰でもない自分を守るためです。
防御力を上げておくことは、東京で生きていく上での必須スキルといえるし、今後の人生を歩んでいく中での、最も大事なライフハックといえるでしょう。
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